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脳梗塞・リハビリテーション 17(14)

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脳梗塞・リハビリテーション 17(14)

 8 初めての言語リハビリで真っ青  

   

   杖で渡り廊下を往復

 16日目 7月21日(木曜日)


10時のリハビリが待ちどうしい。9時半には降りて『管さん、此方へどうぞ。』って言葉を待つ。車椅子に付添いが居るのは僕のように新入りか、重度の患者だ。

単に車椅子で来ている患者は自分で身の回りの世話は出来、リハビリも相当進んでいる。老若男女、患者の数の多いのに、まずびっくり。
それと手、足、首、顔と患者の程度は皆違う。

キャスターベット(注:ストレッチャーのこと)から台マットに移すのさえキツク感じる重症者、どこをリハビリするんだろうと思うほどだ。

言葉をはっきり云えない人、よだれを涎らす人、腰の据わってない人……。

(俺はまだ意識がある、それに歩ける、程度の軽い方だ、ヨシ! 頑張れ、絶対に直すぞ!)とリキンデしまう。

身体をほぐすストレッチ体操から、四つん這いになって肩を鍛え、次に杖をついて歩くのが主な訓練に替わる。

 11時前に終わって、直3階の言語の教室を捜す。

奥まった所にある小さな部屋に若い女医さんが待っている。妻と二人で話を聞く。言葉のリハビリって何をするのか、初めてなのでサッパリ解らない。

どうするのか見当もつかない。

今日は、簡単なテストとかで、字を読んだり短い文を云ったりから始まる。小学校の生徒でも出来ることを、大のオトナに遣らせやがって、と内心立腹する。

まぁ、最初のテストだからどの程度解っているか調べているのだろう、と自分をなだめる。『良く読めましたね~、その通りです。簡単ですからね、リラックスして下さいね。』

優しく言って下さるこの言葉に、(こんなの読めるのは当たり前ではないか、何やってんだ)と突っ掛かる自分。

『じゃぁ次に白いもの、白のつくもの、白い動物のお名前でも善いですよ。言ってみてください。そうですね、1分間。1分間にどんな白いものが出てくるでしょうか?いいですか、ハイッ。』

なんてこの先生は馬鹿だろう、白い動物の名前だなんて、白けりゃ善いんだろう、白ければ、どんなのを云えば気が済むんか、勘弁してくれよ頼むから、もっとすることが有るんじゃない? と思った。

仕方がないや云わなきゃ前に進めない、っか!

白いものねぇ、何がいるかねぇ、そうだねぇ。えぇとぉ、エートォー。…………。

考えても、出てこない!思い出せない!

先生の方をジッと、真剣に見詰める。頭の中が真っ白だぁ~。・・・・そうだ、白衣!白衣が白い。

                        

だが伝わらない。一生懸命に喋っているのに、伝わらない

僕の発音が悪いのだ。一生懸命に喋れば喋るほど発音は悪くなる。

『シャグイ、斜杭、砂悟浄? 何ですか?』違う違う、何で孫悟空の話が出てくるのだ! 『緋鯉?赤いですねぇ~?』

白衣、びゃくい、ビャクイと何回も云っているのに砂悟浄、緋鯉とは何だ!

ビャクイの発音が悪いから、シャグイに聞こえるのであろう。先生も何とか判ってやりたいと云う思いが砂悟浄になるのだろう。

挙句の果てはカープの緋鯉だと。

ヒゴイと聞こえるのかなぁ?改めて発音をやり直す。

『あ~、はいはい。ハクイね!ビャクイですね。解りました。白衣です。』 

『そうです。良くできました。白衣の次は何?』

もう、駄目。頭がイカレタ。パンクだ。

白衣の次?エー、まだやるの!

実際は始めたばかりなのに。こうして自信は粉々に砕けていく。
意識はしっかりしているつもりだった、頭に欠陥はないつもりだった!

それがイカレテル! エー! おい、本当か?

一瞬、頭が、脳が真っ白。

眼の前に強烈な青、赤、白の星が飛び交い、ボーっとしてしまった。

妻は、思い付かないのか、おかしいなと思って待っていた。

ところが急に、タタタ……、カカカカッ………、と云うではないか。

早口で何を喋りたいのかな、おかしいことをするわね、と思ったと云う。
額に脂汗で何とも云えぬ疲れが残る。

グタットしていると女医先生は、妻と何やら 話し込んでいる。

こんなことで、初日は終わり。(下竹佳代子先生には、本当にお世話になった!根気強くイカレタ頭を元通りに戻してくれた!)

後で聞くと『管さんの場合、まだ混乱したところが診えますが、ご心配には及びません。もうちょっと時間がたてば大丈夫です。』と云うようなレクチャーを受けて安心したとのこと。

午後のリハビリと、終わっての自主トレで再び元気が出る。

杖を持って妻の暇つぶしに廊下に出る。本館と旧館の渡り廊下を行き来する。杖は無いときよりは、ずっと楽である。やっぱり道具だなぁと思う。

調子に乗って、つまずいて転びそうになり冷汗を流す。

足をヒコズルというか、擦り足で歩いていると云うか、エレベーターの前のマットにツマズくのだから信じられない。

 広島支店の波多野彩さんから、可愛い暑中見舞いの葉書が届く。夕食後の一仕事にテーブルを組み立てて貰い、左手で返事を書く。

上手く書けぬは、当然、誠意と愛が籠っているんだよ~!と自己満足。

高橋肇さんが池波正太郎の文庫本を持って来てくれる。

有難い、病院の夜は長い。

9時の消灯がきたら、何をすれば良いか。

入院したばかりは、目を開けているのが辛かったけど、慣れてくれば本も読みたくなる。

消灯時間が来てもヘッドランプをスモールにすれば、本は読める。歩行練習の自主トレを今日からやったが、全然疲れはない。

疲れを感じるまで文庫本を読もう。

これが池波の書いた、逸品料理の本と来たからタマラナイ。

お酒で一杯の話で持ちきり。

食事制限を受けておるんですがのう、唾が出る、腹が減る、酒が飲みたいのう。

情けない思いをして寝返りを打って気を紛らす。

寝返りも一仕事なのだ。

ベッドサイドの手摺を持って、左に向けば右手がダランと残る。右手を掴みに行けば天井を向いて元の木阿弥。

だから最初に右手を掴み、左乳の方におくりベッドサイドの手摺を持って、左を向かねばならない。こんなクダランことをしていたら自然と眠くなるのだ。

                  

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